「わこなしつろ」
鹿児島弁は、関西弁や博多弁と比べると、理解することが難しいと言われているのをご存じでしょうか?
2018年のNHK大河ドラマで鹿児島を舞台にした『西郷どん』が放送されましたが、鈴木亮平さん演じる西郷隆盛の鹿児島弁が難しいため字幕が欲しいと、話題になったほどでした。
なぜこれほど難しいと言われているのでしょうか?
その理由の一つに、言葉を短縮する特徴があることがあげられます。
『西郷どん(せごどん)』も、もともとは『西郷殿(さいごうどの)』からきており、他にも『灰(はい)』は『へ』、『犬(いぬ)』は『いん』、『大根(だいこん)』は『でこん』など、言葉が短くなるのです。
鹿児島弁に慣れていない人からすれば、文脈から単語の意味をイメージして、文章を繋げていく必要があるため、短縮された言葉の使用頻度が高いほど、理解にも時間がかかるのでしょう。
二つ目の理由はアクセントの難しさです。
標準語と鹿児島弁では、アクセントがほとんど正反対になっていると言われており、例えば『もみじ』だと、標準語では『も』にアクセントがつきますが、鹿児島弁では音の起伏がなく、単調な発声になります。
それだけでなく、助詞がつくとアクセントの位置がまた変化するため、聞いている人からすれば、余計に混乱する原因となっています。
鹿児島大学の社会言語学教授である太田一郎さんによれば、助詞がつくことでアクセントが変わる方言は珍しいそうです。
ではなぜこれほどに、難解でユニークな方言になったのでしょうか?
それはかつての江戸との距離が原因と言われています。鹿児島や青森のように、日本の端に行くほど、中心地である江戸からは離れるため、言語は標準語から変化していきます。また、当時の薩摩藩は他藩との交流を非常に厳しく規制していたため、余計に独自の言葉が進化していったのだと考えられています。
ではここで、大河ドラマ『西郷どん』でも使用されていた鹿児島弁をいくつかご紹介します。一番よく使われるであろう言葉は『あいがとさげもした。』こちらは『ありがとうございました』という意味です。他にも職場などでよく使われる『おつかれさま』は『おやっとさぁ』と言います。
お店に入った時などに聞こえてくる『いらっしゃいませ』は『おじゃったもんせ』と言うので、鹿児島へ遊びに来た際には、注意して聞いてみてくださいね。
最初はとっつきにくい鹿児島弁も、ルーツなどを知ると少し身近に感じますよね。ぜひいくつかの鹿児島弁を覚えて、地元の人とも方言で話してみてください。
最後に、「わこなしつろ」正月の「あけましておめでとうございます」と同じ意味です